COLUMN "HOLIDAY TSUSHIN"
2011.05.13 №044
震災その後
東日本大震災から2ヶ月が経ちました。
ゴールデンウィークもあり、余震も落ち着いて来たことから、元の生活に戻りつつある今日この頃です。人間には慣れと忘却という得意技があるので辛い事も乗り越えられるのでしょうが、その一方で、忘れてはならないものまで忘れる生き物であることを痛感します。
今回の震災で、私は「地域」というものについて考えさせられました。
被災してもなお、その地に留まりたいという気持ちというのは、単に生活を送るのに都合が良いからというようなことから生まれるのではなく、もっと奥深いものだと思います。原風景のような、心の拠り所となっているからだと思うのです。
以前「アレクセイと泉」というドキュメント映画を観ました。
チェルノブイリ原発で汚染された地から、離れられず残り住んでいる老人達とアレクセイという青年の話です。彼等は放射能に汚染された土壌からキノコなど採取し、食べて暮らしていました。でもその村には泉が湧いており、その水だけは全く汚染されていないのです。
なぜ危険かもしれないのにそこを離れないのか、それは理屈を超えた想いから来るように感じました。その泉のように、ただ当然のようにそこに在りたいと思うのではないでしょうか。
私も千葉で育ち、一時期離れて暮らしていましたが、縁あって千葉に帰ってきました。どこでも住むことは出来ますが、やっぱり千葉がいいのです。
そして今私達は、地域に根ざしたお店を目指しています。もし何かがあって離れないといけなくなったら、辛いです。
今までは何の気なしに聴いていたこの歌が、今初めて心に響く今日このごろです。
ふるさと作詞/高野辰之 作曲/岡野貞一
兎(うさぎ)追いし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき ふるさと
如何(いか)にいます 父母
恙(つつが) 無しや友垣(ともがき)
雨に風につけても
思い出ずる ふるさと
志(こころざし)を 果たして
いつの日にか 帰(かえ)らん
山はあおきふるさと
水は清き ふるさと